ふとテレビをつけると、一般人の人間ドラマのような番組が流れていて。
元気に家庭に仕事にがんばっていたら、原因不明の病気にかかって大変な事態に。奈落の底に落とされながらも、前を向いて歩みを進めようとする姿に涙腺がゆるくなってきて。
あぁ、もうダメ。涙が・・・
と思った矢先に青汁が出てきて「元気になった秘訣はこれだった」とナレーションが入って思わず、
青汁のCMかーい!!!
と涙が一気に引いていく、あのときのショックと言ったら。
きっと、田舎のおじいちゃんおばあちゃんは、あれをみて感動そのままに電話して青汁を注文しているのでしょうね。
あの手法、あれに似ているんですよ。
古びたビルの一室やスーパーの一角で行われている宣伝講習販売や、いわゆるマルチ商法的なネットワークビジネスのやり方に。
昔のつらかった体験を話しながら涙を誘い、「これのおかげで元気になれたんです。」の一言で、高額商品を販売していくやり方にそっくり。宗教の勧誘でも、身体に障害を持たれた方が付き添われていて、断ると罪悪感を感じてしまって。
買ったり入会すれば、救ってあげられるかも。
そんな心境になっちゃいます。
感動的な青汁CMを見るたびに心を動かされながらも、「宣伝講習やマルチ商法、宗教の勧誘とおなじ。本質を理解せずに、お金を払ったり入会しないでしょ。」と言い聞かせながら、冷静さを保つようにしています。
だって、商品やサービスではなく、一度きりの感動体験にお金を払うようなものだから。しかも、気がつけば定期購入を契約していたり、定期集会に参加しなければならなくなって、ずるずると貯金を減らしていく、ありそうなパターン。
冷静になって考えれば、商売で一番コストがかかるのは「人」ですものね。
「人」が全面にでてくる商品やサービスって、とってもコストが高くつきます。だから商品・サービス自体のクオリティよりも、はるかに高い値付けになる。
ディナーショーの値段をみれば、一目瞭然。
感動的な「人の物語」CMの青汁も、一度きりの支払いならいいけれど。
その裏では、今か今かと定期契約をねらわれている気がして、ちょっとこわい。どっぷり浸かれば、電話オペレーターの方と世間話をできるようになったりして、支払ったお金に見合ったサービスを受けることもできるのでしょうけれど。
もはや青汁自体にクオリティはないと言っているようなものだけど。
コミュニケーションのツールとしての、青汁という名前の粉。それはそれでありだよね、人が笑顔になっているのなら。いや、それなら世間話サービスとして売り出さないといけないんじゃ?
と、クソマジメな私は思ったりするわけで。
書いていて、自分は商売が下手だなぁと、ちょっとへこんでしまった。