豚肉のこま切れを、無心に努めて炒めていく。
2月になり、小学校を卒業する次男の骨軟骨腫(良性)が再発して、ふたたび手術することになった。左足の人差し指にくっついている腫瘍は成長線まで浸食していた。
そのため、再発しないように成長線も削ることになった。
おそらく指は、少しばかりは変形するだろう。爪のベッドも傷ついていたため、爪も変形するだろう。場合によっては、爪が失われるかもしれない。
たとえ爪がなくなっても機能的に問題はなく、見た目の問題。
それに左足の人差し指だから、たいした身体損失でもない。
そう自分のことであれば納得がいくが、子どもの話となると、どうしてこんなに苦しいのだろう。
退院して、包帯に包まれた左足を見ては、くやしさに唇をかんでしまう。
それに今月は、母の手術へと話はつづいた。
手術日は来月。初期のガンである可能性は否定できないが、手術さえすれば問題はない。そう理解していても、やはり胸が苦しくなる。
息子と、母親。
あわただしい時間は、疲労を残してかけぬけて行った。
タメ息をつきながら、タマネギも加えて炒めていく。
ぶつけようのない、むしゃくしゃした気分を解消したくて、おろしニンニクをがっつりと加えて炒めつづけた。
創味シャンタンも加えて、塩コショウして。
炒りたまごと、ざく切りにしたケールも加えていく。
ケール葉は、8枚。
邪気を払うかのように、ケール葉もたっぷりと加えた。
仕上げにコショウをふりかけて、醤油をまわしかければ完成。
無心に食べながら「ごはんと相性が良すぎる、最高!」と次男がつぶやいた。
心から嬉しそうな、笑顔をたたえて。
あらためて、おかえりなさい。