\\ 第1回「青汁」ホントのところ✨ //

いまでは国民の健康食となった「青汁」のおいたち

青汁は、戦後の食料不足に悩んでいた地域住民や患者さんの健康増進のため、京都大学医学部第二内科(現・京都大学内分泌代謝内科)を出て倉敷中央病院に赴任、のちに院長に就任した遠藤仁郎博士が、「緑葉はそれ自体が栄養的に完全な食品であるのみならず、その豊富なビタミンやミネラルによって栄養素の体内利用を促進するため、カロリー・蛋白質の必要量が少なくてすむ」という、当時の栄養新説に基づいて考案した菜っ葉(ナッパ)をすりつぶした汁です。

青汁という名称は遠藤博士の奥様が命名され、当時の読み方は「あおじる」ではなく「あおしる」でした。

季節の様々な野菜を栽培して新鮮な搾り汁を取り、病院で青汁給食を始めました。体調が良い、術後の患者の回復が早い、などの好評を得て愛飲者は徐々に広がり、地元の小学校でも希望者に青汁を配るようになりました。

しかし一年を通して新鮮な緑葉を確保するのは困難だったため、1956年ごろから周年栽培が可能で葉が大量に取れ、栄養価も高いケールを使うようになって初めて、広い地域への青汁供給が可能になりました。

「一般に好んで食べられている白米やパン、肉や魚などの高カロリー食品では満たされない栄養素はビタミン類とカルシウム。リンゴ、バナナ、ミカンなどはビタミンC以外に見るべきものはなく、キュウリ、大根、キャベツ、トマトなども同様。ニンジンにはビタミンAは多いが、カルシウムやその他のビタミンを埋めることはとてもできそうにない」

「その一方、ナッパには不足しやすい栄養素がそろっており、タンパク質も量は少ないものの動物性に匹敵する良質なもの。とくに高カロリー食品に足りないビタミンA、C、カルシウムがずば抜けて多い。ビタミンB群はやや少ないが、これは高カロリー食品で補える栄養素」

「ナッパさえ充分にとれば、どんな食事も理想に近い栄養バランスとなる」

そうした考え方が広がり、青汁は知らない人はいない健康食となりました。

ところで、バランスのとれた栄養が大切という話をするとかならず「不足しているビタミン・ミネラルを補いたければ、薬やサプリメントを飲めばいいではないか」という人がいます。たしかに今は、ビタミン剤や栄養ドリンクなどがどこでも簡単に手にはいります。なにを好きこのんでナッパを食べたり青汁を飲んだり、野暮ったいことをしなくてはならないのか、ということなのでしょう。

しかし問題は栄養価の数字だけではなく、その内容です。合成ビタミンは天然のものにくらべて吸収が悪く、過剰摂取のリスクもあります。いっぽう自然食の場合、一部分を抽出したものではなく「全体食」、丸ごと食べることで栄養バランス全体を底上げすることができ、植物が作りだす抗酸化成分などの微量栄養素まで補うことができます。

主食では玄米、麦、豆類、イモ類を。タンパク質食品では魚、牛乳、卵など。それでも必要な栄養素は足りないため、どうしても野菜に求めることになります。とくにケール、大根葉、ニンジンの葉、カブの葉、キャベツの外葉などの緑葉はビタミン・ミネラルともに豊富なため、青汁に最適なのです。