豚肉ではなく、生姜焼きは「油揚げ」で事足りると知った。

長雨は畑の匂いを消した

どこまでも白い空が心に影を落とし
日に日に生きた心地が失われてゆく

雨音は生活音となり姿を消した

虫の音を頼りに耳を澄まし
雨上がりに飛び出して草を刈る

陽の光を食べた草は切り潰され
飛び散った草葉の数々は
長靴にべたりとこびりつく

匂いがジメジメ立ち込めた

いつしか西よりの風となり
遠い遠い豚舎に淀んだ空気を運ぶ

臭いがジトジト立ち込めた

生姜焼きを作るため包丁をにぎり
豚の代わりの油揚げを切る

熱した鉄鍋に食材をすべらせ
炒めた所へ加えたタレは
ジュワっと音を立てる

噛みしめるたびに
見失った感性がにじみ出てきた

なんて油揚げはおいしいのだろう