ひろゆき
その昔、家族のためにケーキを作ってみたんです。
レシピとにらめっこしながら、丁寧に、慎重に。
期待をふくらませてオーブンレンジで焼きあがるのを待っていたのに、スポンジケーキとは程遠い、ぺちゃんこのビスケット生地ができあがった。
そう、あれからだ。
あつあつのビスケットみたいなやつをポリポリ食べながら「もう、パンみたいな食べ物はつくらない」と涙ながらに決めたんだ。
そんなパンの神様に見放されたぼくとはちがって、妻はパン作りが好きだ。
「なにか悪いことしたのかな。」
「もしかして怒ってるのかな。」
と不安になるくらいに、どしん!ばたん!と生地をたたきつける妻のパンは、家族みんなを笑顔にしてくれる。
妻の名(みか)をもじって、ぼくは「ミカパン」と呼んでいる。
このあいだも、丸くてでっかいパン(カンパーニュだっけ)を焼いてくれたので、パンがおいしく食べられる料理をつくってみました。
チリパウダーやクミンなどを混ぜて仕上げた、鶏むね肉と大豆のスープ煮込み。
仕上げにケールもいれて彩りと栄養を添えました。
外国のYouTuberのレシピを参考にしたのですが、不思議な粉を入れてまして。「休眠!」なんど聞いても「休眠!」といっている粉なんです。
睡眠薬でも入れてるのかな。
いやでも「休眠」なんだよな。
世界では安眠レシピが流行ってるのかな。
休眠という粉がなんなのか分からずに途方にくれていたら、「休眠・・・クミンか!?」と気がつきました。そう、クミンパウダーだったのです。
あやうく家族みんなを食事中に寝かしつけるところでした。
いやー、それにしてもパンとスープはおいしいね。