「広告代理店のみなさまへ」

見通しの悪いときこそ未来は、希望は、輪郭をもって現れる。

まだまだ蒸し暑い、
夜のはじめ。

ISSが日本を横切ると知って、
外へ駆け出し、空を見上げた。

まあるい月が輝いていた。

まるで大気圏に浮かんでいる月は、
僕をやわらかい希望で包んでくれた。

あの心地良さは忘れられない。

暗がりで歯磨きをして、
暗がりで用を足して、
暗がりで布団に寝転んだ。

障子はぼんやり明るんで、
土壁はぼんやり明るんで、
畳はぼんやり明るんだ。

目をそらせば忘れるような、
こじんまりとした希望。

悲しさもなく、
苦しさもなく、
怒りもない。

澄みきった希望だ。

目を閉じ、深く深く。
ゆったり沈んで軽くなる。

どれだけ沈んで、
どけだけ浮かんでいたのだろう。

突然、体が重くなった。
また朝が来たようだ。

明るみで顔を洗って、
明るみで用を足して、
明るみで挨拶をした。

朝食は、まあるいホットケーキ。

このホットケーキも、
きっと希望に包まれた小麦。
添えた我が家の青汁も、
きっと希望に包まれた野菜。

帰省しない夏休み。

月の明かりで酒でも呑むかな。