「広告代理店のみなさまへ」

どうか、ご無事で。

ゴウゴウと空が鳴く夜だった。

7月3日、金曜日。
娘は親友宅へお泊りにゆき、
息子と落ちついて食事ができた。

7月4日、土曜日。
わが家でもお泊り会をし、
片付けた部屋は秘密基地になった。

7月5日、日曜日。
廃品回収で集落をまわった後、
基地は近所の子らで大賑わいだった。

翌朝、空はおうおう鳴いていた。

7月6日、月曜日。
灯りを残すべきか。
灯りは消すべきか。

移住のたびにみるハザードマップは、
宇宙からみる都市の灯りのように。
変わらず、粘菌の如く灯されていた。

7月7日、火曜日。
ようやく、
空が泣いていることに気がついた。

被災地の友人の声は、
ずっと頭のなかで降りしきる。

現実は考えていた以上にひどく。
想い出にあった暮らしは、
どれもこれも消えたと知らされた。

「野次馬か、渋滞もひどいです。」

当事者の声を聞くほど、
当事者意識は遠くにあって、
己の薄情さに愛想がつきる。

どうか、ご無事で。

生ぬるい言葉が口をつき、
生ぬるい涙で目がうるむ。

それでもどうか、ご無事で。