「広告代理店のみなさまへ」

葛藤を詰め込んだ、にんにくたっぷり「ペペロンチーノ」

子ども時代を思いだした。

親のはなしを聞かないからと、
ファミコンのコードを切られたこと。

黒く、たよりなく細長いコード。
ブラウン管テレビへつながるコード。
無残にも断線したコードだった。

悲しさは迎えいれたものの、
諦めとは別れて銅線をつなぎなおした。
あの時の「してやったり」たるや。

「あら、また断線?お盛んなこと。」

抜け道のある罰はあまい蜜になり、
断線修理を楽しみにする自分がいた。

(そんなことがあったな。)

じつは、次男のアプリを消したんだ。

とあるiPadゲームの虜になって、
なかなかリアルワールドに帰らない。
呼びかけても、うわの空。

だから、アプリを消してやったのだ。
目の前で「ブチン!」と削除してやった。

にもかかわらず、だ。

なんだこの、ムリョクカン、は。

長男に耳打ちしている彼の表情は、
到底、悲しみにくれておらず。
気圧がぶつかる梅雨の合間に、
ピタリと風がやみ、日が差すように。
おぼつかない自信に満ちていた。

「いつか、こうなると思ってさ。」

復元できるようにID登録をすませ、
抜け道を確保していたらしい。

しかし、しかしだ。

そのIDが間違っていれば、
二度とデータは復元できない。
ざまあみろ、最初からやりなおしだ。

ま、つぎからは反省して…

「スクショしてるから間違いようがない。」

いまの子は、
メモ書きなんてやるわけもなく、
映像まるごとコピーする。

あぁ、わが葛藤よ。

アプリを削除してやろうか。
それはあまりに可哀想ではないか。
いや、けれどもだ。

(葛藤よ、おわかれの時だ。)

だが、このままでは終わらせない。

今日の朝食は「ペペロンチーノ」。
トントン、パチパチ、グツグツ。
いつもより早起きしてつくったんだ。

「めっちゃ、おいしい!」

そうだろ、そうだろうよ。
いつもよりニンニクたっぷりだ。
元気が湧き出てきただろう。

学校で「おまえ、くせぇ!」と言われておいで。

ざまあみやがれ。

わが葛藤よ、敵はとったぞ。