「広告代理店のみなさまへ」

まさか小学校が、そこまで子どもたちのことを考えていたなんて。

だから胸騒ぎがしたんだ。

学校が再開してすぐ、週のはじめだというのに。友達ともりあがって「ヒュー!」ってさけびながら、私のケツをさわっていく娘。

週のはじめだというのに。

花火をすることになった、手持ちのやつ。

二ヶ月ちかく自粛していたから、気持ちが高ぶるのはわかる。けれど、それはつまり体力もおちているということ。

週のはじめに花火して、しっかり授業をうけられるのだろうか。

なんたって娘は、かならず5限目に寝る子どもとして、前の小学校では有名だったんだから。

「ちゃんと寝かしてますか?」

って先生からいわれて、21時までには寝ていることを伝えると「え!?あ、あぁ。寝るのが好きな子なんですね。」って。

娘は、三度のめしも、寝るのも好き。

あ、ついでにオヤツも。

ひとづきあいも。

そんな娘のことだ。きっとまた寝てしまうのだろう。とても心配になって翌日、元気をまき散らしながら帰ってきた娘にきいてみた。

「きょうはね、保健室で寝た!」

「こんどの小学校はね、保健室のベッドがふかふかなんだよ!枕もふかふか!」

「もうね、最高!」

まさか娘が「保健室ソムリエール」の資格をとっていたなんて。きっと前の小学校でも、より快適な睡眠をもとめて保健室へいったのだろう。

「沈みこむタイプか。もうちょっと反発があればなー。」

などと批評する娘の顔がうかんで、口にふくんだ麦茶をふきだしてしまった。

タピオカが果実ではなく、ただの「デンプン」だったことを知ったときも驚いたが、まさか学校によって、保健室のベッドや枕の「反発力」にちがいがあるとは。

「ふかふか」ということは、今度の小学校では「高反発な寝具」にこだわりがあるにちがいない。世のなかは「低反発」にうかれているというのに、あえて高反発をぶつけてくる心意気、好きだな。

それにしても、どういう口実で保健室へいくのだろう。

ニガテな食べものを前にすると「なんかお腹がいたい」といってトイレに駆けていって。

「あぁ。はぁはぁ、お腹がー。」

と、おおきな声で小芝居をうつ娘のことだ。保健室で寝ることなんて、きっと朝飯前なんだろうな。どうりで帰ってきても、あつくるしいわけだ。

「ヒュー!ヒュー!」

また、ケツをさわって娘が駆けていく。

私のケツは、娘が好きな「高反発」なのだろうか。もうアラフォーのおっさんだ。ふかふかではなく、しっとり「低反発」に沈みこむケツだと思うのだけど。

まさか、寝具のようにたたいてくれているのかな。