「広告代理店のみなさまへ」

おっさんは見た!突然、わが家におとずれた恐怖の事件簿。

ヴヴッ…

ヴヴヴッ…

どうして…スマホをバイブレーションにしたことなんてないのに。どうして、どうして…この着信はだれから…

ヴヴヴヴヴッ…

これ…ぜったい霊的なやつやん。きっと、この世に恨みをのこして旅立った人の霊が電話してきとるんや。

ヴヴヴヴヴヴヴッ!

(おまえを…みちずれに…)

あぁぁぁ。

わたしの人生、これで終わるのね…

悪行をふり返っても、お布団のなかで細心の注意をはらいながら「プスゥ」とやったスカしっぺくらいしか思いだせないというに。

なぜ、わたしが…

40歳にもなって、オナラして怒られたことを反省しながら天をあおぐと、犯人はトンボだった。まよいこんで、でれなくなって波板(屋根)に羽がぶつかっていたのだ。

ヴヴヴヴヴッ…

だけど、金色にかがやく、うつくしい体色だな。ただでさえトンボは勝機をつかむ縁起のいい虫だというのに、さらに金色だなんて。

ショウジョウトンボのメスよね。

はぁ、うつくしい。

こないだ、家のなかを猛スピードで走りまわる貞子のようなゲジゲジを見てしまったから、つい敏感に反応してしまった。

はぁ、こわかったよ。

だってだって。

ゲジゲジったら夜中にカサカサと出てきて、それだけでも怖かったのに、外に出そうと虫取りアミですくおうとしたら、

ガサガサガサッ!!!

って、素早いのなんの。家族みんな「こっち来た!こっち来た!」で大騒ぎで。

ヴヴヴヴヴッ!

まだおったんかい!

そうそう、いや、ちがうって!

そこ右じゃなくて左だって!そうそう、その先にちいさな出口があるでしょ!