「広告代理店のみなさまへ」

ぼくはくま、おなが空いたよ、お肉が食べたい。

昨日、おうちでBBQをした。

ウェーバーグリルというアメリカーンな道具で、オガ炭への着火をながめている時だった。

〜〜〜
ぼくはくま
歩けないけど踊れるよ
しゃべれないけど歌えるよ
〜〜〜

なんとも子どもじみた歌だった。

こちとら「北の国から」の五郎さん(田中邦衛)気分で、ゆらめく炎をながめているというのに、だ。

「ほ、ほたるぅ〜。」

ひとりで口をすぼめながらモノマネしていたときに「ハッ!」と気がついた。これ、宇多田ヒカルやん。そうと分かれば、さっそくググろう。

まるでパブロフの犬のごとし。

とっさにググってしまう。

マリネしておいたブロック肉を、オーブン焼きにするために、グリルの網にのせてフタをする。

そして、ググる!

なるほど。これは「ぼくはくま」という曲で、本人が「いままでつくった中でいちばん好き」といってる歌なんだな。

さすがグーグル、よう知っとる。

そうした背景がわかると「めっちゃ名曲やん、深いやん!胸にひびくやん!」となってしまう。なにせ私は数百円の格安ワインを、妻から「きょうは高いやつを買ってきたの」といわれて「めっちゃ旨い!」と大絶賛する男だ。

条件反射的にヨダレがでるバカ舌だからではない。それだけ、人を信じる、心のうつくしい清らかな人間ということだ。

とにかく、自分のなかで「くまの歌」は、平成史にのこる名曲になった。

“歩けないけど踊れるよ”
“しゃべれないけど歌えるよ”

という歌詞は、きっと自分のことをいってるのだ。

有名人の子どもとして生まれて自由を制限される運命、しかし曲のなかでは自由におどれるし、しゃべりはヘタでも歌がある。

「歌は、わたしを自由にしてくれる。」

そんな宇多田ヒカルのメッセージが伝わってくるのだ。実際、Instagramのプロフィールには「くまが大好きなアラサー女子」と書かれてある。

ほら、ほらーっ!

やっぱり自分のこと表現してるんでしょ!

ほら、当たってるじゃん!

くまーっ!

ガオーッ!!!


「ねー!もう肉は焼けた!?」


そうだった。肉を焼いているニオイにつられて、子どもたちがヨダレをたらしながら待っていた。

わが家のかわいい子熊たち。