「広告代理店のみなさまへ」

イヌの散歩道がつづく先に、子どもたちがはしゃぐ表情がみえた。

「きょうもイヌの散歩道にいこうよ。」

木曜日のゴミ出しついでに散歩しながら、キックスクーターにのった娘がいった。

「ねぇ、イヌの散歩道いい?」

近くに住んでいる女の子が飼っているイヌの散歩に、一緒についてゆく娘に教えてもらう道。

それが、イヌの散歩道。

けれど、きょうは様子がちがっていた。キックスクーターの調子がわるいようで、機嫌をそこねて近道をゆくことになった。

あいかわらずの気分屋さん。

すぐに、ふてくされる。

トトロのメイちゃんみたいに、
頑固者で、意地っぱりで、泣き虫。
そして、
なんといっても、
声がおおきく、とにかく、うるさい。

おかげでアブラゼミが鳴く声なんて気にならなくなったほど、おっさんのクシャミなんて気にならなくなったほどだ。

そんな雑音、いまや寺の音。

「グォ〜ゥゥゥン」

だけどね、
そんな彼女にも素敵なところが、
ひとつだけある。

それは、笑顔だ。

ほら。ふてくされたかと思ったのに、もうケロッとして「きょうさ、プールしていい!?」とか言ってくる。

そして、忘れるのだ。

なにを作ってあげようか、どこに連れていってあげようか、やってみたいを叶えてあげようか、どうしてに付きあってあげようか、いっしょに遊んであげようか。

悩みも、疲れも、しんどさも。
彼女の笑顔は、すべて消し去ってくれる。

ほら、プールの準備するぞ。

「冷たい!」とかいっても知らんからな!