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阿久根の市民交流センター(市民会館)建設で繰り返される白昼夢

この日記を書いた人

Hiro Takayama
1980年生。東京農工大卒→上場企業→ベンチャー企業→家族経営ブログ通販。家族生活は田舎の方が便利だと分かり鹿児島に移住。豊かな自然とネットがあれば子育て以上に楽しいものはない。

20160909-1

鹿児島の中でも豊かな漁場として知られる阿久根(あくね)市。

今度、家族で新鮮な魚貝を食べたり観光に行こうと思って、いろいろと下調べしていたら興味深い話題があって。ちなみに、阿久根市の場所はこちら。

その話題というのが、市民会館を建て替えて平成31年に建設予定の「阿久根市民交流センター」。

阿久根市「市民交流センター建設計画」にみる公共建築のあり方

当初予算25億円から現時点で37億円に膨れ上がった同計画。

設計図をみると、阿久根市民の生活レベル、文化レベルといった実情に全くふさわしくないものでした。高さ8メートルものガラス張りの建築物はまるで東京の百貨店のよう。

掃除などメンテナンスも大変ですし、ガラスですからヒートロスも大きく、それを上回る空調設備にしなければならないという、見てくれ優先で機能が無視されたような状態です。そのような建築物は建築家の夢に過ぎず、経済的な観点からして公共物として全くふさわしくない。

地方自治体の多くが財政再建団体に転落するか、さらなる広域行政化で自治権を永久に失うことが濃厚な時代にあって、37億円もかけて市民交流センターを建設するなんて、きっと豊かな財政なんだろうなって最初は思いました。

大都市である大阪市ですら市民交流センターを平成28年3月31日をもって次々と閉館しているのに、時代の流れに逆行して建設するのですから。

  • 大阪市立市民交流センターなにわ 閉館
  • 大阪市立市民交流センターよどがわ 閉館
  • 大阪市立市民交流センターひがしよどがわ 閉館
  • 大阪市立市民交流センターあさひ西 閉館
  • 大阪市立市民交流センターあさひ東 閉館
  • 大阪市立市民交流センターすみよし南 閉館
  • 大阪市立市民交流センターすみよし北 閉館
  • 大阪市立市民交流センターひがしすみよし 閉館
  • 大阪市立市民交流センターひらの 閉館
  • 大阪市立市民交流センターにしなり 閉館

270万人もいる大阪市に対して阿久根市は2万人しかいないのに、市民交流センターを建設しようとする財政に興味があって調べてみると、自主財源が36億円ほどの自治体規模で37億円の市民交流センターを作ろうとしているそうで。自主財源が1兆円以上ある大阪市ですら、財政健全化のために市民交流センターを閉館したのに。

市民交流センターの建設に賛成する阿久根市民なんて、きっといないだろうにと思っていたらいらっしゃいました。

阿久根市長と面会

取りまとめているのは教育委員会であることがわかりました。

今新しい時代に向けて広く文化を吸収・創出する拠点としての建設を強く望んでいること。生涯学習や多様な芸術文化活動・伝統民俗芸能の伝承の拠点として、また発表の場として、本物を呼べる環境づくりのため多くの用途に対応できる複合施設を実現させたい。

「良いものを行うには経費がかかるので行えない・・・」とあきらめてしまうのか、「多少経費がかかっても良いものを・・・」と踏み切るのか!

町を愛する気持ちはみんな一緒だなあと思いました。

そうかー、確かに。

教育者の視点に立てば市民の芸術文化活動の場として誇りに思えるものを、最先端の設備を提供してあげたいという気持ちは分かりますよね。

ただ…うーん。

既存の市民会館はきっと閑散としていて、目も当てられないほど赤字状態でしょう。それを37億円もかけて建設しなおして、以前にも増して赤字運営を続けることが本当に教育者のあるべき姿なのか疑問ですよね…

それってつまり、

先生「君たちを思って立派な施設を作ったんだよ。どうだい、凄いだろ!」
生徒「凄い!だけど、これって誰のお金で作ったんですか?」
先生「君たちにツケといたよ!一生懸命に働いて返済していきなさい。」
生徒「えっ・・・。」
先生「おかげでハイクオリティな経験ができるだろう。感謝しなさい。」
生徒「えっ・・・。」
先生「あと利用者を増やして黒字化する方法も宿題として出しておきます。」
生徒「・・・。」

と平然な顔してやっているようなもので、これは教育者のあるべき姿ではないよね。むしろ貧しいなら貧しいなりに、既にあるものを工夫しながら楽しむことが尊敬される教育者の姿でしょう。

最先端の施設体験は都市で経験すべきこと。財源が何十倍、何百倍も違う都市の真似事して最新鋭の施設を作ったところで、数年後にはただの古びた箱物。巨大な財源を駆使して世界と闘う都市と同じようなインフラを志向することがどれだけ無意味なことか、どれだけ失敗してきたか、地方が疲弊している原因がこうした都市の劣化コピーを作ってきたことにあることが、なぜ理解できないのだろう。

芸術文化の振興というけれど、芸術文化の裾野なんて広すぎて人口2万人の町ですべてを網羅することなんて無理でしょう。そもそも具体的に何を振興したいのか絞るべきでしょうし、それは公費でやることではなく私費で寄付で支えるもの。「芸術文化の振興」なんて抽象的な話で37億円もの血税を注ぐなんて卒倒しそうで…

個人的には37億円かけて建設するよりも、むしろ既存の市民会館を閉館させても仕方がないと思うけれど。その方が逆に財源も捻出できるだろうし。37万円で高品質な4Kビデオカメラを購入して、阿久根市の芸術文化活動をYouTubeで世界に発信したほうが有意義なのでは?だって37億円も費やすほどの価値ある活動が阿久根市にあるのでしょう?

見栄(プライド)は、身を滅ぼすよ。

もし阿久根市民だったら、いろんな議員さんに電話して建設中止を要請してみたい。各議員さんの回答を聞いて、次回の市議会選挙で誰を応援するべきか、新たな基準もできるだろうし。

何をどう考えれば、このような計画を推進できるのだろう。見栄(プライド)が高いばかりに背伸びして、借金漬けで自己破産する人の典型事例を見ているみたい。

地方は都市の逆張りするしかないのに。

この日記を書いた人

Hiro Takayama
Hiro Takayama
1980年生。東京農工大卒→上場企業→ベンチャー企業→家族経営ブログ通販。家族生活は田舎の方が便利だと分かり鹿児島に移住。豊かな自然とネットがあれば子育て以上に楽しいものはない。
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